Rein’s blog

フィギュアスケートに関する英語記事の和訳を中心に載せています。無断転載はおやめください。

I choose to skate(Sep.4.2018)

 Golden Skate さんの記事の翻訳になります。ロシア代表、セルゲイ・ヴォロノフ選手についての記事です。ハンカチをご用意の上、お読みください。

 

原文

bit.ly

 

 

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 来たる2018-19シーズンのGPシリーズのアサインリストにロシア代表セルゲイ・ヴォロノフの名前があったことに驚いた人も、おそらく少なくないだろう。多くの人は彼が30歳という年齢でこのキャリアを続けるとは予想しなかっただろうし、さらにヴォロノフは昨年12月のロシア選手権でオリンピック代表の4度目の落選を味わっているのだ。しかしながら、ヴォロノフはトレーニングと大会に出場し競い合うことを選び現役続行を決意した。

「私には考える時間がありましたから」ヴォロノフはそう言った。「私はやりたいことや他者からのアドバイス、自分に必要なことや必要でないこと、自分の気持ちに素直に従って続行を決めたのです。私は自分自身でこれからを選ぶことができたこと、そしてまだ滑ることを選んだということが嬉しいです」

 2年前から彼のコーチだったインナ・ゴンチャレンコがCSKAモスクワを去ったため、ヴォロノフはコーチ変更を余儀なくされた。彼はCSKAに残り、現在トレーニングを行なっているエレーナ・ブイアノワへの師事を決めた。

「私はCSKAに残ることができて幸せですし、エレーナ・ゲールマノヴナ(・ブイアノワ)が彼女のチームと一緒に練習を積むことを認めてくれて本当に感謝しています」と、ヴォロノフは話した。

「コンディションはかなり良いですね。エレーナは私にたくさんのことを教えてくれるし、スケート技術や練習についての価値あるアドバイスもくれます。彼女に何か修正するよう言われると、正直なところ、本当に申し訳ないんだけれども文句を言いたくなるときもありますが。彼女との練習は良い影響を受けます。とても良いものだし、本当に楽しんでるんですよ」

 

 昨季のGPシリーズのファイナリストであるヴォロノフはプログラムを作るため、新しい振付師も探していた。そして彼は5月の終わりにデニス・テンの振付を受けるためカザフスタンへ訪れた。

「デニスに頼もうと言 いうのは、自分の決断です」ヴォロノフは想起していた。

「私はフリープログラムで何か新しくて、いつもとは違うものを作りたかったんです。インスタグラムを見ているとき、しばしばデニスが出版した本を見かけました。そして思ったのです、『デニスに頼んだらどうだろう』と」

 ヴォロノフデニス・テンに連絡を取ったが、テンはヴォロノフにフリープログラムの依頼をされて驚いたという。

「『君のプログラムを台無しにしてしまうよ』とデニスは言ったんです。だから私は確信を持ってこう答えました。『いいや、デニス、君は台無しになんかしないさ。これはおだててるんじゃないよ。デニスならやってくれると確信してるんだ』」

 ヴォロノフカザフスタンへ行った際、すでに曲の候補があったがテンはカレオの”Way Down We Go”はどうかと提案した。

「私は別の選択肢もあると言ったけれど、デニスが私を納得させてくれて、今は本当に感謝しています。だって、もしその曲を選ばなかったら私はひどく後悔したでしょう。そうなっても私は手紙も書けないし、『デニス、君が正しかったんだ』なんて言えないのだから」

「私たちは興味深く、独創的な議論を交わしました。私が譲歩したけれど、今では彼がどれほど正しかったのかが分かります。彼は編曲もしてくれました。フリープログラムの全てを彼が作り上げたのです。このプログラムより素晴らしいものは出てこないだろうと思うほどでした」

 そして明らかに、7月19日の悲劇的なデニス・テンの死からこのプログラムは特別な意味を持っている。

 

「正直に言うと、このプログラムを滑るときいろいろなことを考えてしまうんです」とヴォロノフは説明した。

「まずはじめに音楽。この曲には歌詞がありますが、その意味を理解したとき運命を感じるのです。私は本当にこの曲をデニスが私に選んだくれたこと、彼に振付をしてもらえたことに感謝しています」

 ヴォロノフはテンが振り付けた、ただ1人のフィギュアスケーターだ。「本当に遺憾だけれども、彼は私しか振り付けられなかったんです」2度のロシアチャンピオンに輝いたヴォロノフはそう指摘した。

「おそらく、私が今何よりも大切なのは、このフィギュアスケート界だけでなく私が滑るところすべてでデニスがどれだけ才能に溢れた人だったかを伝えることなのです」彼は続けた。

「彼は有名で結果を残したアスリートというだけではなく、振付師でもあるのだということです。デニスは彼らしさと彼にしかない素質を持った人間で、深い知性を備えていて、そして私を信じてくれるのです。信じてくれることはフィギュアスケートという競技では本当に重要なことです」

「もう一度言いますが、お世辞を言っているのではありません。私は彼を心から尊敬しています。デニスの演技からはたくさん学ぶことがありますから、私はよく彼の演技を見ていたのです」

 

 そして、ショートプログラムはシークレットガーデンのAppassionataで、これは彼が選んだ曲だ。アルトゥール・ガチンスキーによって振付されたこのプログラムはマキシム・ザヴォジンも協力しており、シーズンに向けて磨いている。

 

 2017年のNHK杯の覇者であるヴォロノフの夏は、新たなシーズンに向けての準備で忙しかったようだ。プログラムを作り、ギリシャで休暇を過ごしたあとはイタリアのクールマイユールでトレーニングキャンプを行った。

「この町を好きになってしまいました。60歳や70際になったらここで余生を過ごしたいですね」と彼はおどけて見せた。

「実りの多い夏でした。私は全てに取り組みました。プログラムやスケーティング技術、スピン、そしてジャンプ。それぞれのシーズンは始まりから終わりまで経験していますから、音楽や他の考えも心に留めておきます」

 7月の終わり、ヴォロノフは日本のアイスショーに参加し、とても楽しんだと言う。「日本は最高ですよ。他の国では感じられないような暖かさを感じますから。そして、ショーの仲間たちと有名な大阪や京都にも行きました。とても楽しくて、良い経験になりました」とヴォロノフは言った。

 彼はネイサン・チェンやアイスダンスのガブリエラ・パパダキス、ギヨーム・シゼロン、そして同じくロシア選手のアリーナ・ザギトワやドミトリー・アリエフらと楽しい時間を過ごした。

 ヴォロノフは現在、モスクワで行われるロシアナショナルチームのテストスケートを控えている。彼が新プログラムをテストスケートでロシアのスケート連盟に初披露するのは9月9日の予定だ。

 ヴォロノフはGPシリーズのスケートアメリカNHK杯に参戦する予定であるほか、オンドレイ・ネペラ杯や国内戦であるロシアカップの出場も予定している。

 

 

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 「君が正しかったんだ、なんてもう今じゃ言えないから」

 この一言に、涙が出ました。セリョージャ自身、本当に辛かったはずです。でも彼は、懸命に前向きに遺されたプログラムと向き合ってくれました。だから完成して日も浅いながらもTHE ICEで滑ってくれたのだと私は思います。そしてきっとデニスは、いつでもセリョージャを信じているはずだから。だってセリョージャがまだ滑ってくれるのだから。

 

 

 最後に、セリョージャもコメントしていたWay Down We Goの歌詞です。

 

Father tell me, we get what we deserve
Oh we get what we deserve
And way down we go
Way down we go
Say way down we go
Way down we go
You let your feet run wild
Time has come as we all oh, go down
Yeah but for the fall oh, my
Do you dare to look him right in the eyes?
'Cause they will run you down, down til the dark
Yes and they will run you down, down til you fall
And they will run you down, down til you go
Yeah so you can't crawl no more
And way down we go
Way down we go
Say way down we go
'Cause they will run you down, down til you fall
Way down we go
Oh bab-bab-yeah
Wow baby
Baby
Bab, down we go
Yeah
And way down we go
Way down we go

Say way down we go
Way down we go

 

 

 

Rein @Icyblossoms